Accuphase DP-80 & DC-81<Accuphase DP-80 & DC-81>
 昭和から平成へと年号が変わって数年経った頃には、それまでのLPレコードからCDへと音楽ソースの主流が変わっていった頃でもありました。私は周りの人々が次々とCDへと移行してゆく中で孤立しかけていましたが、何としてもその音に対しての抵抗感を払拭できずに時には拒絶感を露わにすることもさえもありました。「雑音も音の内」というのが考えの一つとして根強くあったことから、「余韻」というものには耳には聞こえない周波数帯までの幅広い音が影響しあって届くものであり、空気伝導としてスピーカー・ボックスから放たれ、部屋の壁などからの反射音も含めた音の集合体が耳に到達して初めて聞こえる訳で、そのプロセスを必要としないならば「ヘッドフォン」で聴けばよいのではないだろうかというのが私の考えであった。
アナログLPレコード 以前オーディオ専業メーカーの技術者が自宅を訪問してくれた時にも、オシロスコープなどの機器を持参して部屋の音響特性を測定してくれたことがありましたが、純粋な音楽信号以外は邪魔者扱いをする傾向にありましたので、本当にそれでよいのであろうかと私の考えを言いたい放題伝えると、不思議そうな顔をして帰っていきました。残されたプリントアウトしたグラフには必要ないとされる周波数帯の部分に印が付けられていましたが、私にとっては重要な低域部分は特に「音響特性上吸音することが望ましい」との意見が付け加えられていました。

 その後、川上氏から「CDプレーヤーを開発中」の一報が入り、試作機が準備できたらば直ぐに持参するということだったので、試聴できる日を楽しみに待つことにしました。その間に拒絶反応ばかりしていた私も、多少なりとも考えを緩めようと気持ちを替える努力をしましたが、簡単に切り替えることが出来ずにいました。暫くして試作機が届いて試聴すると、いままでに何台か聴いたことのあるCDプレーヤーとは比較できない良いものを感じましたが、技術的な説明の理解はできても単純に音に対する理解にはもう少し時間が必要に思えました。しかし世の趨勢が変わってゆくことは間違いないことでもあり、今が決断の時と考えて価格も発売時期も未定のプレーヤーを予約することにしました。