TANNOY ⅢLZ<TANNOY ⅢLZ> 私が大学2年の頃、市内の百貨店がビルを建て替えて新装オープンした時に、時代の波でオーディオ・コーナーがミニ放送局と併設されて出現しました。オーディオ・ブームの先駆けといえるもので、目新しさもあって大勢の客が出入りしていました。さまざまなコンポーネント機器の出現により、一気に高性能なシステムを手に入れることが出来るようになりました。国内オーディオ専業メーカーが一部のマニア向けに生産していた技術を吸収し、大手家電メーカーが別ブランドで大量の製品を供給可能となり、高性能なオーディオ機器を手に入れることが容易になりました。
TANNOY ⅢLZ しかし海外製品となると話は別で桁違いの価格であったため、当時では秋葉原などへ行かないと見ることも不可能だったころに、新装オープンしたばかりのこの百貨店に立ち寄りました。すると、雑誌で見たことのある海外製品も陳列されており「JBL」など数社のスピーカーが目に留まりましたが、価格が大きな壁となり「音質」を聴いて参考にしようという考えまでに至りませんでした。店内をうろついていると店員の人が近づいてきて、将来的に方向性を決めてこの趣味を続けていくとが大事なことなので、幾つかのスピーカーの特徴をお聴かせしますから「参考にしてください」ということになりました。

最後に「TANNOY」という小さくて奥行きの無い見た目もぱっとしないスピーカーを聴かせてくれましたが、名称も何と読むのか不明?で更に音もぱっとしないものでした。イギリス製でクラシック・ファンに絶大な人気のスピーカーであるという説明でしたが、このときは全く理解することはできませんでした。このスピーカーこそ「ⅢLZ」だったのです。