<Autograph“さらなる余韻の追求”>
再開から9ヶ月ほど経った春先に、愛聴盤として定期的に聴いているレコード以外をどう扱って行けば良いものか解決策を練り始めました。感覚も10年前にほぼ回復していましたので、微妙な調整に対応できると判断して思い切って現在の聴き方を変えて管弦楽曲ばかりではなく器楽曲(ピアノ・ソナタ)、声楽、バロック音楽など幅広い曲やレコード会社による録音レベル差に対応可能なシステムを目指そうと考え、微調整を可能にするためにはコントロールアンプのボリューウムレベルを上げてからチャンネルデバイダーによって押さえ込む数値を変化させる方法がベストだろうという判断、練習を兼ねてコントロールアンプのボリュウムレベルを1段階上げてみました。するとF-15では平均して低域が1dB、中高域が3dB程度下げると聴感上は同音量になることが分かってきました。次に所有しているレコード会社でのレベル差を調べてみると大きな差が生じ、F-15の低域で5dB、中高域では10dB以上もの違いが出るものがあり、流石のFー15のアッテネーターでも全てのレコードを微調整しきることは難しいほどの録音レベル差があることを知ってびっくりしてしまいました。
レコードを通しで聴いてから次回の微調整数値を予測してジャケットに記入し、次の時はその予測数値が適正か判断するということを繰り返し行って基準となる設定値を決定していく方法を選択することにしました。設定を初めてみると今までより細かく微調整することが出来るため、Fー15の0.5dBステップでの上げ下げによって今まで聞こえなかったパートの楽器音が明瞭に聞こえるようになり、響き方が良くなったり悪くなったりが手に取るように分かるようになりました。
この作業を続けて丸一年が経ち、長年に渡りレコード・キャビネットの奥に眠っていたCDの中からも、新たに愛聴盤に加わるものが多数出現しています。一方、従来の愛聴盤の殆どを占めていたグラモフォン盤が一時期は犠牲になりかけましたが、最近になって復活し楽しんで聴くことが出来ています。それまで求め続けていた余韻では音像中に浸りながら沸き上がる余韻を楽しんでいましたが、その包み込むような音像に埋もれてしまうことから起こる副作用とも言える現象により、管弦楽曲などに限定された分野でしか求める余韻を感じ取ることが出来ないことが原因で、時間の経過とともに狭まった聴き方になってしまったようです。